昔の浮気が結婚後に発覚|許せない気持ちと、許すしかない現実…?
知らない方がまだマシ?結婚後に昔の浮気の事実を知ってしまった…
昔の日記から、夫の結婚前の浮気を知ってしまった。過ぎたことだから、なかったことにしようとしても気になってしまう。昔の浮気は、できれば知りたくないことです。
もし、その浮気が結婚後も続いているようなら、慰謝料請求や離婚を検討する方法もあります。完全に過去の浮気であれば、慰謝料請求など法的な制裁を行うのは、残念ながら難しいといえるでしょう。
相手を許すかどうかも難しい問題です。夫婦で話し合うことが一番ですが、過ぎたことを蒸し返すことで、夫婦関係が悪化する可能性もあります。
結婚前の過去の浮気について、どのように対処すればよいのか、法律面と心理面の両方からみていきましょう。
法律ではどこからが浮気?結婚前と結婚後での違いや一般論
浮気は、法律上は「不貞行為」と呼ばれます。この「不貞行為」は、慰謝料請求や離婚の理由となります。しかし、この不貞行為の定義が適用されるのは、婚姻中の夫婦についてです。
恋人の間で発生した浮気が、たとえ性的関係を伴うものであったとしても、裁判所で争う慰謝料請求や離婚の対象にはなりません。
一部の例外は、「婚約中の浮気で、婚約破棄した場合」と「内縁関係の浮気」です。婚約していると認められる状況で、婚約者が浮気。それにより婚約破棄となったら、慰謝料の請求が可能です。
また、事実婚と呼ばれる内縁関係にある場合、法律上の籍は入れてなくても夫婦と同様に扱われます。そのため、内縁関係が認められれば、たとえ夫婦でなくても浮気が不貞行為としてみなされるケースがあります。
しかしながら、婚約中の浮気でも結婚後に知った場合には、「婚約破棄の慰謝料」は請求できません。なぜなら、すでに結婚しているからです。過去の浮気は恋人時代の浮気とされ、一般的には慰謝料の請求は難しいといえるでしょう。
・結婚後に浮気を知ったら?話し合うことで信頼回復を
もし、昔の浮気を結婚後に知ってしまったら? 相手を信じる気持ちを取り戻すには、話し合うことが一番です。しかし、相手が誠意を持って応えてくれないと、夫婦関係がよりいっそう悪化する恐れがあります。すでに夫婦の関係性が悪く、過去の浮気がきっかけとなり婚姻生活が破綻する場合も。
結婚前の浮気を、不貞行為として離婚事由とすることはできません。しかし、過去の浮気をもとに婚姻生活が破綻した場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚を訴えることは可能といえます。
・キスや手をつなぐ、プラトニックラブは「浮気」じゃない
浮気の定義は人によってさまざまです。キスだけで浮気とカウントしたり、気持ちが揺れ動いただけで浮気と見なす人もいます。
しかし、法律上の浮気は、あくまで「不貞行為」に該当するものを指します。つまりは、セックスなど性的行為を含む関係のことをいいます。婚約中の浮気で、婚約破棄になったから慰謝料請求だ!と息巻く場合、その浮気が不貞行為に該当するかを立証する必要があるので、注意しましょう。
話し合いで解決すべき?知らなかったことにできるなら…それもあり?
過去の浮気を知ってしまったら、話し合うのと黙っておくのとどちらがよいのでしょうか。
・話し合うことで、安心できるケース
結婚前に、知らない女性と一緒に写っている写真や、意味深なメールを発見してしまった。付き合っていたときに、陰で浮気をしていたのかな…?と不安になりますよね。
もしかしたら、今も浮気しているのか、心配で疑ってしまう場合。ストレートに聞いたほうが、不安が晴れるかもしれません。配偶者が、「昔のことだよ。いまはキミ一筋だ!」と否定してくれれば、疑っていた気持ちも安心できるでしょう。
・言わないほうが、夫婦の間にさざ波は立たないケース
しかしながら、昔の話を蒸し返すことで、夫婦仲が険悪になる場合もあります。配偶者が、「浮気してたの?」と責められていると感じたら、強く否定するかもしれません。また、過去の浮気の証拠の見つけ方によっては、人のプライバシーに立ち入ったと気分を害す可能性もあります。
昔の浮気をみつけショックでも、すぐには問いたださない。今も続く浮気でなければ、黙って心の中にしまっておくのも、夫婦関係を長続きさせる秘訣かもしれません。
結婚前の浮気が結婚後に発覚した場合に離婚できる?慰謝料請求は…?
・結婚前の浮気を理由に、離婚はできるのか?
離婚を裁判で争う場合、浮気が原因であれば「不貞行為」が法定事由となります。不貞行為は通常、夫婦に適用される考え方のため、恋人時代の浮気は「不貞行為」とみなされません。そのため、結婚前の浮気を持ちだし、不貞行為として離婚を争うのは難しいといえます。
当事者同士で離婚を話し合うときは、両者の同意があれば離婚が成立します。結婚前の浮気を理由に夫婦生活を続けられないと思う場合、相手が納得すれば離婚できます。
・「婚姻を継続し難い重大な事由」としての離婚
法律では、5つの事由を離婚が認められる「法定離婚事由」として定めています。
不貞行為(民法770条1項1号)
悪意の遺棄(同条項2号)
3年以上の生死不明(同条項3号)
強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと(同条項4号)
その他婚姻を継続し難い重大な事由があること(同条項5号)
借金・暴力・ギャンブルなど、法律で定めるほかの4項目に合致しない理由で離婚を訴えるとき、「婚姻を継続し難い重大な事由」かどうかを争うことになります。その状況であれば、結婚生活を続けるのは無理ですね、と裁判官が納得すれば離婚が成立するというわけです。
過去の浮気が不貞行為にならなくても、それをキッカケに夫婦関係が破綻したら。「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、裁判所に離婚を訴えることは可能となります。
・結婚前の浮気、慰謝料請求はできるのか?
一概にはいえませんが、慰謝料の請求は難しいといえます。なぜなら、一般的に考えられる不貞行為の慰謝料は、夫婦である婚姻期間中に発生した浮気について請求されるからです。
例外があるとすれば、結婚前の状態が「内縁関係にあたる」と認められる場合です。内縁関係の条件は、「双方に婚姻の意思があること」「一緒に暮らし共同生活を送っていること」の2点です。
しかし、婚姻中の不貞行為と異なり、結婚前の浮気については法律上の明確な定めがありません。そのため、弁護士など法律のプロに相談するほうがよいといえます。
恋人と夫婦は違う!浮気問題を乗り越えるため、再構築のためにできること
恋人なら、浮気されたから別れを選ぶのは難しくありません。しかし、夫婦だと話は違います。簡単に、離婚は選べません。
財産分与や経済的な不安、子どもがいる場合は親権など、離婚にまつわる問題は山のようにあります。複雑だからという理由だけでなく、愛を誓い合った相手だからこそ、一生を一緒に過ごせる努力が必要です。
たとえ、知ってしまった昔の浮気を黙っていようと決意しても、心の傷は残ります。相手と向き合い、よりよい夫婦生活を送ることでしか、心の傷は癒えません。
浮気を知ったことを相手に伝えたら、罵り合いの喧嘩になるかもしれません。それでも、夫婦の生活は明日も続いていきます。
・休みの日は、ちょっと手をかけた料理を作ってみる。
・ちょっとしたことでも、「ありがとう」と感謝を伝える。
日々の生活の積み重ねが、二人の信頼を作っていきます。責めるだけでは、夫婦の絆は強くなりません。日常を重ねることで、お互いに理解し、浮気を過去のものとして乗り越えていけるのだと思います。