「好きな人ができたから離婚して」と言われたら|慰謝料や拒否について
夫(妻)から『好きな人ができたから離婚したい』と言われたら…
ある日、配偶者から「好きな人ができた」と切り出されたらどうしますか? しかも、相手は離婚を望んでいる。好きな人ができたなら仕方がないと、諦めて離婚するしかないのでしょうか。
残念ながら、人の気持ちは変えられません。どんなに努力しようと、配偶者の気持ちが離れているのでは、離婚は避けられないかもしれません。しかし、離婚するにあたって不利にならないようにポイントを押さえておくことは重要です。
「好きな人ができた」という言い方は、一見きれいな純愛のように思えます。しかし、浮気となんら変わりはありません。もし、配偶者がすでに「好きな人」と肉体関係を持っているのであれば、あなたには慰謝料の請求をする権利があります。
また離婚は納得できない!というのであれば、有責配偶者からは離婚できないという法律の一般知識を知っておきましょう。
ある日突然、好きな人ができたと離婚を切り出されたら。知っておくべき対処法をご紹介します。
「好きな人ができた」が理由で離婚…子供なしの夫婦なら簡単?
配偶者に好きな人ができたという理由で離婚を迫られたら、誰でも困惑します。子どもがいれば、なおさら養育費や親権はどうしようと悩みますよね。子どもがいなくても、夫婦が恋人同士のように簡単に別れることはできません。
夫婦として暮らしている間、一緒に築き上げた財産があります。まだローンの残る家、購入した自家用車、二人の名義で貯金したお金など。共有財産をどうするかを決めなければなりません。
子どもがいないぶん、話し合う内容は減りますが、親族を巻き込んでの騒ぎになることもあります。もし、離婚を切り出された時点で夫婦関係がうまくいっていない、離婚してもいいかなと思う場合でも、条件をつけずに同意するのはおすすめできません。
離婚するということは、引っ越しや財産分与、名義の変更など物理的に時間をとられることが多く発生します。また、親戚や知人に会うたびに状況を説明しようと、精神的にすり減ることもあります。
こうしたとき、あっさり離婚してしまうと、「なんでこんな苦労をしなければ」とつらい気持ちになります。離婚するなら、条件を掲示しましょう。有利なように、財産分与について要望を伝える。配偶者が、すでに「好きな人」と浮気している関係なら、慰謝料請求を行います。
お互い本気?相手はお遊びの浮気?相手が既婚者だった場合は複雑
配偶者が好きになった相手が既婚者だとしたら、状況が複雑になる恐れがあります。二人はすでに、お互いに離婚して一緒になろうと思っているのか? それとも、配偶者の気持ちだけが盛り上がっているのか?
「好きな人ができたから一緒にいられない」というのは、浮気する人が離婚したいときの口実です。浮気はしていない、という体に見せかけておいて、裏ではすでに肉体関係を持っているケースがほとんどです。
配偶者のお相手が既婚者の場合、相手方から不貞行為の慰謝料請求がくる可能性があります。自分が離婚したあとであれば、元・配偶者が支払うべき慰謝料なので関係のないことです。しかし、婚姻中に慰謝料請求の騒ぎになれば、頭の痛い事態におちいります。
配偶者の本気度合いと、浮気の証拠は早めに確かめておきましょう。子どもがいて、離婚話が複雑になりそうな場合は、弁護士など専門家に相談するのがよいでしょう。
別れるしかない?!離婚して好きな人と再婚すると言う場合の対応は?
配偶者が、好きな人と結婚するから別れてくれと言ってきた場合、受け入れるしかないのでしょうか?
通常、離婚は夫婦二人の同意のもと成立します。そして裁判で離婚を争う場合、浮気をした有責配偶者からは離婚の申し立てはできないことになっています。
しかし、離婚届けを受理する市役所には、本人がサインしたのかをチェックする機能はありません。そのため、配偶者が離婚届けに虚偽のサインをしてしまえば、離婚が成立してしまいます。
離婚に同意できないのであれば、まずは「離婚届不受理届け」を提出しておきましょう。これにより、届出が出ている間は離婚届けが提出されても受理されません。知らない間に離婚が成立していたという事態を防ぐことができます。
離婚するという配偶者の意思を拒み、婚姻関係を続けることはできます。しかし、配偶者が家を出て行き別居が長期間に渡る場合、例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められることもあります。
意固地になり、離婚を拒絶すると状況が不利になることもあります。配偶者の意思が変わらないのであれば、条件を掲示したうえで離婚の話し合いを進めることが大切です。
子供がいる場合|家庭より恋愛を優先する夫(妻)へ親権は譲れないと思うなら
子どもがいる場合、離婚となれば親権と養育費を決めなければなりません。
通常、日本の法律は母親に親権が渡るケースが一般的です。母親と同居して子どもに危害が及ぶとハッキリしている場合を除き、母親が拒否しなければ父が親権を取るケースは少ないと言えます。
・夫が浮気、離婚するときによくあるケース
夫から好きな人がいると離婚を切り出された場合、親権は子どもの母親が持つと考えるのが一般的です。しかし、なかには離婚して出て行くにもかかわらず、「子どもは俺が引き取る」と親権を主張する父親がいます。
これには、養育費を払いたくない・妻である配偶者に嫌がらせをしたい、という心理が隠れています。通常の親子関係であれば、母親のほうが親権者としては適任と判断されます。持病で子どもの養育に専念できない・経済的な不安を抱える場合は、法テラスや弁護士など法律の専門家に相談してみるのがよいでしょう。
・妻が浮気、子どもはどうする?
妻が浮気して、浮気相手と一緒になる。子どもを引き取ると言っているが、浮気したような母親と同居させるのに賛成できないと揉めるケースがあります。
父親が親権を取るのは、母と子に問題がない限り難しいとされています。そのため、浮気した妻が親権を主張し、子どもとの同居に賛成できない場合は、早めに親権について法律家のサポートをあおぐほうがよいでしょう。
・養育費の支払いは親の義務。公正証書の作成を
離婚前に、養育費は毎月いくら支払うというように、書面で取り交わしておきましょう。離婚した親の半数以上は養育費を支払わないともいわれています。不払いになるトラブルも多いです。
養育費の支払いが滞納したときに備えて、取り交わした内容は公正証書にしておきましょう。公正証書は、裁判所の判決と同じくらいの効力をもっています。養育費の不払いが発生したら、裁判所に相手方と争うことなく、強制執行の申し立てを行えます。
別れたとしても、養育費を支払うのは親の務めです。きっちり支払わせるように、法律の打てる手は打っておきましょう。
「好きな人がいる」が理由で離婚できる?相手から慰謝料はとれる?
配偶者が「好きな人がいる」からといって、離婚はできるものなのでしょうか。
「好きな人がいる」だけでは、裁判では離婚の理由になりません。しかし、離婚は夫婦の話し合いでまず決めるものです。配偶者の意思が変わらず、一緒に夫婦としてやっていく意味がないと感じるのであれば、理由がなんであれ離婚が成立します。
といっても、すぐに離婚要求に応じる必要はありません。離婚するときの条件を考えたり、慰謝料を請求できないか浮気の調査をすることも重要です。
・「好きな人がいる」といわれ、慰謝料は請求できる?
裁判で慰謝料請求を争うときは、「不貞行為」がある浮気についてです。気持ちだけの片思いだったり、プラトニックな関係であったりすれば、不貞行為を理由として裁判による慰謝料請求は成立しません。
しかし、当事者の話し合いなら慰謝料の支払いを求めることもできます。配偶者本人に慰謝料を支払う意思があれば、請求してもよいでしょう。
配偶者の出方次第ではありますが、話し合う前に本当に浮気でないのか確かめておきましょう。不貞行為だと思われるたしかな浮気の証拠があれば、浮気相手にも慰謝料請求ができます。財産分与にしても、強気の態度で交渉できるでしょう。
「好きな人ができた」ことが、気の迷いということもあります。夫婦で話し合えるなら、配偶者の気持ちを聞く機会を作ってみましょう。浮気していることを隠して離婚しようとするのなら、それはとてもズルい行為です。家庭を裏切ったことを反省してもらい、きっちりとお灸をすえましょう。