夫の浮気で別居は離婚や修復の不利になる?知っておくべき別居の対策
夫の浮気発覚で別居は賢い選択?後悔する?冷却期間のためのメリット
夫の浮気が発覚したら、顔を見るのもつらいほどショックを受けます。そんな中で、お互いに頭を冷やすためにあえて別居するという選択があります。
浮気された側の妻としては、離れて暮らすのは不安がともないます。生活費はどうするのか、子どもとの暮らしはどうなるか。不安に加え、別居によって夫の心がさらに離れていくのではという心配もあるでしょう。
確かに浮気している人間を自由にしたら、浮気相手の元に入り浸る時間が増えてしまいます。そのため、感情的に別居を選択するのはおすすめできません。
夫婦で話し合い、お互いに納得した上で冷却期間として別居を決めましょう。離れて暮らす期間を設けることで、メリットもあります。
まず、離れることで気持ちが落ち着きます。毎日の生活で顔を合わせると、否応にでも浮気のショックがよみがえってきます。夫から距離をおくことで、気持ちの整理をつける時間がとれます。
また、子どもがいる場合はいがみ合っている親の姿を見せずにすみます。離れることで、夫が家族の大切さを理解する可能性もゼロではありません。
離婚について考えるため、夫といるのが辛いから気持ちの整理のため。別居するときの理由は、ひとつではありません。ただ、別居にあたり対策は必要です。夫の浮気で別居するときの、事前に知っておくべきことについてまとめました。
別居するときの対策!勝手に離婚届けを出されないようにするには
まず、別居する前にしておくべきことは、「離婚届不受理届」の提出です。
浮気した夫と別居するとき、夫が勝手に離婚届けを提出してしまう恐れがあります。役所では、書類の筆跡をチェックしません。ハンコが押され、必要事項が記載されていれば、たとえ夫が勝手に書いた離婚届でも受理されてしまいます。あなたが同意していなくても、離婚が成立してしまうのです。
もし勝手に離婚届けを出されてしまったら。夫婦の意思に基づかない離婚として、無効を主張することができます。離婚を取り消すには、裁判所に離婚の無効を主張するための申し立てをしなければなりません。
家庭裁判所に、「協議離婚無効確認調停」の手続きを行います。調停を申し立てても、相手が応じない場合は訴訟にうつります。
夫婦の意思に反して受理された離婚届ですが、無効であると主張しても自動的に取り消されるわけではありません。裁判所での調停や訴訟を経て、離婚の無効が確定されます。それまでには、時間も労力もかかります。そのため、別居の前に離婚に同意していない場合は、「離婚届不受理届」を役所に提出しておきましょう。
まれに、署名した離婚届を置いて別居してしまう人がいます。配偶者が離婚届を提出してしまい、あとになって離婚の意思が変わった・本当に提出するとは思っていなかったと、離婚を後悔する場合もあります。離婚届への記入は、意思が固まってから慎重に行いましょう。
別居中でも生活費を夫に請求できる?「婚姻費用」について知ろう
冷却期間のために別居するといっても、気になるのは生活費です。夫婦には、互いに扶助する義務があります。これを、婚姻費用分担義務とよびます。別居に至った理由によっては、妻の収入がなければ夫に婚姻費用を請求できます。
理想的な方法は、別居前に婚姻費用について話し合うことです。浮気した夫から、妻に対して別居中に支払う生活費をいくらにするか決めます。金額がはっきりしない場合は、裁判のときに使われる、「婚姻費用算定表」を参考にしてみましょう。
基本的には、夫婦の年収と子どもの人数・年齢をもとに婚姻費用が決まります。たとえば、14歳以下の子どもがひとり、妻が専業主婦。夫の浮気が原因で別居に至ったとします。夫の給与が500万円前後であれば、月々の婚姻費用は8万円~10万円とされています。
これは、あくまでの裁判での参考の金額です。夫婦で話し合って決める場合は、状況に応じてそれ以上になることもあるでしょう。
話し合いで金額が決定したら、決定内容をもとに公正証書を作成しましょう。公正証書とは、公証役場で公証人がつくる公的な意味合いをもつ書類のことです。普通の書類と違い、裁判所の判決に近い効力を持っています。
夫が決められた婚姻費用を支払わなかったら、公正証書をもとに裁判所に夫の給与や財産差し押さえのための申し立てを行うことができます。お金の話は、口約束では「なかったこと」にされてしまう恐れもあります。別居中の生活費について話し合ったら、公正証書を作成することを強くおすすめします。
もし別居中子どもが夫に会いたいと言ったら?面会交流は拒否できる?
子どもがいる場合、別居中に夫に会わせるかどうかを悩むことになります。離婚していても、別居していても、子どもは双方の親に会う権利があります。定期的に離れて住む親に会うことを、面会交流といいます。離婚するとき、未成年の子どもがいればこの面会交流の詳細を話し合います。
会う回数やタイミング、どこで会うかなどを夫婦で決定します。面会交流は、子どもが親と会う権利です。そのため、たとえ夫の浮気が原因で別居している場合でも、浮気を理由に母親が面会交流を拒否することはできません。
面会交流を母親が渋っていたら、離婚裁判のときの親権の取り決めで不利な要因となる可能性もあります。裁判官は、親権者を決めるときに面会交流に消極的な親元で育つよりは、積極的に双方の親と会える環境のほうが望ましいと判断する例もあるからです。
たとえ別居中でも、夫と子どもを会わせるときは、子どもの意思を尊重することが大切です。
離婚でも再構築でも、不貞行為の証拠は別居前に確保しておこう
最後に、別居にあたっては「別居前」に夫の浮気の証拠を確保しておきましょう。冷却期間で修復にむけての別居だったとしても、その後の展開で離婚することもあります。そのとき、夫の浮気の証拠がなければ浮気相手や夫へ慰謝料を請求する機会を失ってしまいます。
浮気の証拠を集めるとき、気をつけておくべきは次の2点です。
・浮気の証拠は、動かぬ「不貞行為」の証拠を集める
不貞行為とは、浮気の法律的な名称です。法定離婚や慰謝料請求の根拠となる不貞行為は、性的関係があることです。つまりは、夫と浮気相手がセックスをしたという点が重要です。
証拠が「愛しているよ」というメールや、夫と浮気相手が手をつないでいるだけの写真。これらだけでは、不貞行為があったと認められない可能性もあります。
浮気の証拠は、必ず夫と浮気相手の間に不貞行為があったとわかるものを用意しましょう。具体的には、二人がラブホテルに出入りする密会現場の写真が理想的です。
浮気が発覚したら、浮気の詳細を記載した誓約書にサインさせるのも良い方法です。浮気相手の名前や住所もあわせて確認します。不貞行為があったと認めた誓約書に、夫がサインとハンコを押しておけば、離婚を争う場合に不貞行為の証拠になります。
・不貞行為は、「別居前」にあったとわかるものを
離婚や慰謝料請求の裁判では、不貞行為によって夫婦関係が破綻したことがポイントとなります。なにをもって「夫婦関係が破綻した」とするかは明確になっていません。夫婦が一緒に暮らしているか、家計の財布は同一か、客観的な事実を中心に判断されます。
不貞行為より以前に夫婦関係が破綻している場合、慰謝料を請求することができません。別居している状態であれば、浮気した夫がその状態を逆手にとり、浮気は別居後に起こったことだと主張する可能性もあります。夫に責任逃れをさせないために、日付がわかる不貞行為の証拠を用意しておきましょう。
別居によって、夫婦関係が好転することもあれば、離婚という結論に達することもあります。離婚となっても、事前に法律に関連する知識を知っておけば対策をとることができます。もし、浮気した夫と距離を置くことを悩んでいたら、こうした対策を参考にしてみてください。