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【本当は妻の浮気が心配】精一杯の虚勢を張ってしまい追求できなかった

女性にもてないわけではない!僕は絶対の自信をもっていた

僕からのプロポーズで強引に結婚したとはいえ、妻の僕に対する愛情に対して僕は絶対の自信を持っていました。だから、少々のことには動じないつもりだったし、それでも愛していくつもりでした。

僕自身、女性にもてないわけではありません。むしろ、あちこちで女性に声をかけられてしまう自分を縛り付けるために妻と結婚したつもりだったのです。その妻が、山へキャンプに行くと言いだしたのは結婚二年目、僕が40歳、妻が37歳のときです。「ああ、そう。僕は?」「約束してたの」短い会話野中に一瞬、断ちきられるような緊張が走りました。

『小さい男』と思われたくない精一杯の虚勢と自制心

ロッククライミングの指導を受けていた結婚前、その指導者から久しぶりに谷川岳に行かないかという誘いがあったというのです。まさか、あの一の倉沢?と聞くとそうではなくて、ごく初心者向けの崖で練習してから、谷川岳の山頂を普通に歩いて登るということでした。「ふう~ん、なるほど。二人で?」と聞くと「他にもう一人、私と同世代の女性がいるの」

それ以上あれこれ尋ねててしまうときっと「小さい男」とか罵られるではないかと思ったのです。「ああ、そう。楽しんできて」精一杯の虚勢を張ってそう言いました。つくづく思ったものです。男って悲しい生き物なのだということを。何だか小さい男とか、つまらない男とか言われることは最大の侮辱のような気がして一生懸命虚勢を張ってしまいます。

逆に僕もそれなりの楽しみ方をすればお互い様ではないかとも思いました。けれども、そうなると元の木阿弥、僕は昔のチャラチャラした男に戻ってしまいそうです。それに比べたら、小さい男、つまらない男というレッテルの方が後悔のないより良い評価のように思えました。

カメラが好きな妻が写真を撮っていない謎

30代後半の女盛りの妻は清々しい顔で山から戻ってきました。とても寒かったけれども、指導者の持っていた冬山用のシェラフは信じられないくらい暖かかったと言っていました。もう一人の女性については何も言いませんでした。不思議なことにカメラ好きの妻でしたが、その山行きに関する写真は一枚も撮らなかったようです。

「どうだった?」と聞く僕に対して「うん、良かった」と言葉だけで答える彼女がビジュアル的に何かを示すことはありませんでした。ただ、遠くを見て満足した表情を浮かべていました。その意味は未だにわかりません。疑いたくとも疑いようのない空白の山行きは、時間の経過と共に無かったことのように薄れていきます。

結婚して10年経ちました。今さらほじくり返してもどうにもならないことはわかっているつもりです。ただ、更年期を迎え、夜の営みに応えてくれなくなった妻に対する不満もあります。悶々としながら夜を明かすことも少なくありません。

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